浄水フィルターの「除去率80%以上」「99.9%除去」の読み方
浄水型ウォーターサーバーや浄水器の公式サイトを見ると、フィルター性能が「99.9%除去」と書かれていたり「除去率80%以上」だったりと、表現に幅があります。この数字が何を指しているのかを整理します。
「除去率80%以上」は表示ルールに基づく数字
家庭用の浄水器で「除去できる」とうたえる物質と、その試験方法は、家庭用品品質表示法とJIS S 3201(家庭用浄水器試験方法)で決められています。
このルールでは、対象物質を80%以上除去できることが、その物質を「ろ過性能」として表示する条件になっています。つまり「除去率80%以上」という表記は、法令・JISが定める最低ラインを満たしている、という意味です。高性能だから80%なのではなく、80%が表示できる下限です。
JISで定められている代表的な対象物質は次のようなものです。
- 遊離残留塩素(カルキ臭の主因)
- 濁り(濁度)
- 総トリハロメタン、クロロホルムなどの揮発性有機化合物(VOC)
- 溶解性鉛
- 農薬(CAT)
- 2-MIB(カビ臭の原因物質)
これらの多くは、家庭用浄水器の中心である活性炭で除ける物質です。裏を返すと、「JISの対象物質を除去」というアピールは、実質的には「残留塩素などを8割前後除ける」という話にとどまることが多く、それ以上の性能を保証するものではありません(浄水フィルターの比較)。
「99.9%除去」は方式で意味が変わる
「99.9%」という数字は、何を対象にしているかで中身が違います。
- すべての不純物(イオン・塩類・重金属まで)を99.9%阻止できるのは、基本的に逆浸透膜(RO)だけです。RO水は純水に近くなる一方、加圧ポンプが必要で、ろ過しきれなかった濃縮水(排水)が出ます。
- ウイルスや細菌を99.9%以上除去は、中空糸膜など目の細かいろ材でも実現できます。これは化学的に分解するのではなく、物理的なサイズでこし取る仕組みで、こし取ったものはカートリッジ内に残ります。
「99.9%」だけを見て両者を同じ性能と受け取らないことが大事です。イオンや溶解性の物質まで除きたいのか、微生物や濁りを除ければよいのかで、選ぶべき方式が変わります。
水道水はそもそも51項目の基準を満たしている
前提として、日本の水道水は水道法の水質基準51項目を満たして供給されています(水道水の位置づけ)。浄水フィルターの主な役割は、その水からさらに塩素臭やカビ臭を取り、味を整えることです。「危険な水を安全にする」ための装置ではない、という位置づけで数字を読むと過大評価しにくくなります。
まとめ
- 「除去率80%以上」は家庭用品品質表示法・JISが定める表示の下限。高性能の証ではない。
- JIS対象物質は活性炭で除けるものが中心で、実質は「残留塩素などを8割前後」。
- すべての不純物を99.9%阻止できるのはROのみ。細菌・ウイルスの99.9%は中空糸膜でも可能。
- 水道水は51項目の基準を満たしており、フィルターの役割は主に味の調整。